制作記

第2 回 Sタンクの複雑な迷彩塗装を筆塗りでやってみました。

今回は「溝引き」という物差しの溝をガイドにして筆で直線を引く方法を取り上げてみました。「Sタンク」というのは、AFVギャラリーに展示してあるStrv.130cと呼ばれるスウェーデン陸軍の平ぺったい形の戦車の通称ですが、スウェーデン陸軍の特徴のある迷彩模様をどう塗装するか悩んでしまいました。この迷彩模様は境目がはっきりしているうえに直線で構成された幾何学模様のような模様なのです。エアーブラシを使って、マスキングテープで境目をきちっと色分けしながら塗装するのがはやり一番きれいでシャープな仕上がりになるでしょうが、凹凸の多い戦車のボディをマスキングテープで塗り分けるのは大変根気のいる作業になりそうです。かといって筆塗りではマスキングなしで直線を引くのも難しいです。そこで今回考えたのは物差しとガラス棒を使って筆で直線を引くことのできる「溝引き」という方法です。これは30代以上の年令の方で、デザイン学校に行かれた方や版下、レタリングを経験された方は御存じかと思いますが、CG全盛の今では忘れ去られた技術かもしれません。私も本業のイラストを描く時は必ず「溝引き」で線を引いていましたが最近はやはりCGばかりで線を引く技術も衰えてきました。正直言って自分も模型にはあまり「溝引き」を使ったことはありませんし、初めての方にとってはかえって面倒で難しい方法かもしれませんが、今回は「こんな方法もある」ということだけでも知っていただければ良いかと思い取り上げてみました。興味のある方はおつきあいしてください。

用意する道具は2つだけです。上の写真にあるような竹でできた溝のある物差しと先の丸いガラス棒が必要です。自分の物差しは年期が入って色が変わっていますし、目盛りの部分を切り取って握りやすくしてありますので市販のものとは違いますが、今でも画材店でこの2つは購入できます。値段は東急ハンズの画材売り場で調べたところ、竹の物差しは250円、ガラス棒は150円程度だったと思います。それでは「Sタンク」の塗装を順番に見ていきたいと思います。

 

まず筆とガラス棒の持ち方ですが、写真のように箸を持つような感じで軽く握ります。

ガラス棒の頭を溝に入れてそのまま一気に線を引きます。最初からうまく引けないと思いますので紙の上で何度か練習してみると良いと思います。

戦車のキットは説明書どうりに組みあげてまずエアーブラシでベースの色を塗装しました。

ベースの色はグンゼの135番ロシアングリーン1に27番の機体内部色を少量混ぜて明るくしたグリーンを使いました。

箱絵の塗装図を見ながらフリーハンドでおおまかに色を着けていきます。この時はまだ色の境界線はガタガタしています。

迷彩模様はタミヤの水性アクリル塗料XF67-NATOグリーン、XF68-NATOブラウン、XF69-NATOブラックを使いました。